私は独りぼっちだった。
当たり前のように、だれもが“大切な人”を作っていく。しかも、異性の。
親友のなっちゃんも、クラスメイトの美穂も。幼馴染の由美子も。漫画の中の冴えない主人公でさえ。
中学でちょこちょこカップルが出来て、高校ではそこそこの青春を送るバカップルが出てきて、大学では合コンが本格的に行われて、大体その時期にくっついたカップルが結婚というモノにゴールインする。
そう、それが“当たり前”。
私はモテない自称コミュ障のレズビアンだ。
“当たり前”の人生は、送ることが出来なかった。
一度も“大切な人”を作ることなく、30代半ばまで生きてきてしまった。
自分の顔にも、体形にも、勿論性格にも自信なんてあるハズがない。
カミングアウトなんて、できるわけない。するハズもない。ありえない。
近年、YouTubeなどのメディアに出始めたレズビアンのカップル。
キラキラしていて、とても遠い世界のように思えた。
まるで遊園地のパレードみたいだな。綺麗な美人さんが出てきて、夢を見せてくれるの。
彼女たちはそれが“当たり前”のように画面の向こうで笑い合う。
“大切な人”を見つけて、幸せに暮らせている。
遠い、遠い、幸せな国のお話。
私も同じ、レズビアンなのに。
何で私は愛されないの?
何で私は誰かと一緒にならないといけないの?
何でみんなは幸せそうなの?
何で私は苦しいの?
ハロー、ハロー、至急、応答を求む。
私はモテないビアン。私は綺麗じゃないビアン。私は寂しいビアン。
この世界にいるビアンはみんな“当たり前”みたいに“大切な人”を作っているの?
独りぼっちで寂しくないの?苦しくないの?
ハロー、ハロー、誰か答えてください。ハロー、ハロー、
はじめましてのご挨拶を兼ねて。
2020.5.5 ROKUJO