「私はパートナーもいないし、きっと孤独死するんだ…」
もし貴女がそのように思っているのなら、自分がどのように、どのようなシチュエーションで孤独死をするのか、想像してもらいたい。
「よぼよぼのお婆さんになった私に急に心臓発作みたいな苦しみが襲って、床に倒れてもがくけど一人暮らしだから助けを呼べず、どんどん意識が遠のいていく。
そして何か月も発見されずに死体はドロドロに溶けて、腐臭に気付いたアパートの管理人が部屋の中を確認してやっと発見される。
遺体の引き取り手がいないから、遠方の親戚にまで警察から連絡が行って、縁の薄い人たちにまで迷惑がかかるんだ…」
…と、いったところだろうか。
貴女はどのように亡くなるのか?
・そもそも『孤独死』とは?
この先、『孤独死』について語るにあたり、『孤独死』の定義だけハッキリしておきたい。
【孤独死】
主に一人暮らしの者が誰にも看取られることなく、当人の住居内などで生活中の突発的な疾病などによって死亡することを指す。特に重篤化しても助けを呼べずに死亡している状況を表す(Wikipedia参照)
以上を読むと、貴女の想像している『孤独死』の状況はそれなりに当たっているようだ。
しかし、孤独死の統計を読むと次のようなことが分かってくる。
・孤独死の平均年齢は61歳。また、65歳未満の割合が全体の50.8%(以外と若い)
・病死が62.3%、自死が11.3%(病死以外の死因も多い)
・孤独死の男女の人数比率8:2(圧倒的に男性が多い)
・孤独死の発見までの平均日数は、3日以内が全体の40.2%、30日以上の長期化が14.3%、平均して17日(大半が早く発見される=そんなに腐敗しない)
・第一発見者は、親族が約20%、管理会社やオーナーが約27%、自治体やケアワーカーなどの福祉関係者が約20%(意外と早く親族が見つけている)
あくまで上記は統計上の数字であり、誰もがそのとおりに孤独死しているわけではないが、平均的な現状は分かっていただきたい。
それでは先程貴女が思い描いた孤独死のシチュエーションと照らし合わせてみよう。
【よぼよぼのお婆さんになった私に】→孤独死平均年齢は61歳。あと、男女比から見ると女性の孤独死は少なめ。
【急に心臓発作みたいな苦しみが襲って、床に倒れてもがくけど一人暮らしだから助けを呼べず、どんどん意識が遠のいていく】→孤独死は病死だけではないぞ。
【何か月も発見されずに死体はドロドロに溶けて、腐臭に気付いたアパートの管理人が部屋の中を確認してやっと発見される】→大体親族か管理会社が3日以内に発見してくれるぞ。
【遺体の引き取り手がいないから、遠方の親戚にまで警察から連絡が行って、縁の薄い人たちにまで迷惑がかかる】→20%の割合でわざわざ心配して様子を見に来てくれる親族がいるが、それは縁が薄いといえるのか?
・孤独死のイメージはどこからきたか?
貴女が想像した『孤独死』のイメージは、本当に最悪の状況の『孤独死』である。貴女は何故、そのようなイメージを持ったのか?
近年、情報番組等で特別清掃業者の現状が取り上げられるようになった。それが大きな原因になっているように思える。
宇宙服みたいな服を着て、入室前に手を合わせる清掃員。
テレビに映しだされる足の踏み場がない程ゴミだらけの狭い部屋。
ヒトガタに黒く変色したベッドを見て、「ここで亡くなっていたんですね…」と眉をひそめて解説する様子。
清掃に〇〇万円かかりましたとリアルな数字を報道する。
そんな様子をエンターテインメントを見せられているかのようにテレビの画面を見る視聴者。
一体いつから『他人の死』というモノはエンターテインメントのネタになったというんだ。
まとめ
何事も最悪の場合の想定をして事前に対策や準備をするのは良いことであるが、ただただ不安を煽るだけの報道は控えていただきたいものだ。
そして、それを見て不安を感じるだけの貴女よ。そのイメージだけを見て一般化するのはやめよう。
しかし心配性の貴女のことだから、きっと最悪な状況での孤独死への対応が気になるだろう。
そんな貴女に、次回から今からできる孤独死への対応をまとめていく。