今回は『死』と、宗教やスピリチュアルに関する話だ。
日本人の大半が『葬式仏教』や『無宗教』という宗教に入信していると思われる。
別に私は「〇〇という宗教に入信すれば、死ぬのが怖くなくなりますよ!」と勧誘をするつもりは一切ない。そもそも私も『葬式仏教』信者だ。
しかし孤独死を語るにあたり、宗教面やスピリチュアル方面のサポートの話は避けて通れない問題である。
そう、誰だって『死=恐怖』というプログラムが設定されているのだから。
天国はどこにある?
「死後の世界はどうなっているのか?」
私はまだ死んだことがないので全くの不明であるが、一応、死後の世界の設定は宗教ごとに異なっている。
天国(キリスト教・イスラム教)、極楽浄土(仏教)、六道を輪廻する(仏教)…などなど。
携帯電話のキャリアを選ぶように、ご自分に合った世界観を選んでよろしいのだが、大半の死後の設定は「生前で良い行いをしたら天国、悪いことをしたら地獄」というものになっている。
「人は死んだ後、どこに行くのだろう?」
『死』との向き合い方。それが宗教が生まれた理由の一つでもあったのだろう。
天国はどこにあって、どんな場所なのか?どうしたら天国に行けるのか?
それらの疑問を明確な証拠をあげて説明できるのなら、貴女の『死』への恐怖はだいぶ和らぐのだろうか。
しかし、残念なことにサルが人間に進化してから500万年、明確な答えは出ていない。恐らく、分からないままに我々も死んでいくのだろう。
・ターミナルケア(終末期ケア)
『死』というモノの先に何があるのかは誰も知らない。
自分の『死』が近くなった時、『死』というモノとどのように向き合ったらいいのか。
まだまだ日本ではあまり浸透していないようだが、ターミナルケア(終末期ケア)という看護方針がある。
『死』を目前にした人に対し、治療を目的とせずに「残された時間を充実したものにしよう」という考え方から誕生したもの。
1960年代にイギリスで発祥。日本でも1980年代以降、少しずつターミナルケアが重要視されてきている。
主に『身体的ケア』『精神的ケア』『社会的ケア』の3つから成るが、ここでは特に『精神的ケア』を取り上げたい。
『死』についての話題をタブーとせず、「不安や恐怖を拭い去ることは難しい」ということを分かってもらうこと。
一人で『死』と向き合うような孤独を感じさせないこと。
まだまだ少数ではあるが、ターミナルケアの現場に宗教家の人間を立ち会わせることもある。
ターミナルケアについて興味がある方は、『〇〇県(お住まいの場所) ターミナルケア』と検索してみて欲しい。
一点、問題としては、ターミナルケアを実施している病院・施設は非常に費用が高額ということだろう。
もし、ご自分の死が近くなった時にターミナルケアを受けたいのであれば、それなりの貯えが必要になる。しかし、検討しても良い選択肢であると思う。
・同性愛と宗教
「まてまて、そもそも同性愛って仏教以外の宗教上ではタブーじゃん!普通に地獄行きじゃん。イスラム教だったら死刑になるレベルでタブーじゃん!」
そうなのだ。宗教における同性愛問題は結構根深いものがある。
宗教家の中でも、未だに同性愛をタブーとする方もいらっしゃるようだ。
けれど、その点もゆくゆくは安心していいことになるのではないかと考える。
2018年5月。カトリック教会の法王が同性愛者の方と面会した際に、以下のように述べた。
「神はあなたをこのようにつくり、このままのあなたを愛している」
「あなたも自分自身を愛しなさい。人々の言うことを心配してはいけない」
同性愛をタブーと見なすカトリック。
そのトップである法王の、あくまで個人的な見解であるとバチカンは報道しているが、この発言は全世界に大きな影響を与えたのではないかと思う。
宗教だって、新しい時代に歩み寄りつつある。
それに。我々レズビアンの存在を、なにも全人類に理解してもらう必要もない。大丈夫だ。
・私は死んでいっている
人間はこの世に生を受けた瞬間から、誰もが死に向かって歩いている。
残念ながら、人間というプログラムの死亡率は100%だ。
『メメント・モリ』
芸術作品の中でテーマとして多く使われる言葉である。
「自分が必ず死ぬことを忘れるな」
目の前のことで忙殺されてしまう現代人にとって、『死』は遠い存在である。
「そりゃいつか死ぬか分からないけど…。いちいち考えてられないよ」と言ったところか。
しかし、貴女は「確実に死んでいっている」のだ。
どうあがいても、貴女のみならず誰もが最期は一人で三途の川を渡っていく。去り行く時は、誰だって一人だ。
そのくらい、貴女も分かっていることだろう。
そして、どの宗教でも、スピリチュアルでも、貴女の『死』の恐怖を完全に取り除くこともできない。
まとめ
人が生まれない日がないように、人が死なない日はない。
どの宗教でも、スピリチュアルでも、貴女の『死』の恐怖を完全に取り除くこともできないかもしれないが、心の平穏に少しでも繋がるのなら、少しづつ取り入れてみても良い。
しかし、日本人の特有の宗教アレルギーがあるのであれば、誰かの闘病記が書かれている書物でも良いだろう。書物であれば高くても2千円程度で話が済む。
今の内から『死』とどう向き合うか、自分の中でなんとなくとでも分かっていれば、孤独死の恐怖も多少はマシになるのではないだろうか。
最後に。
宗教でもスピリチュアルでも、近年怪しい団体が増えているので注意してほしい。
・宗教の経典がない
・事務所に偉い人(政治家・宗教家)と一緒に撮影した写真が大量に飾ってある
・〇(まる)を書き始める
以上の3つが揃っていたら、確実に裸足で逃げだした方が良い。
(続き)死亡後の各種手続きについて【孤独死は怖くない*3】