目次
台風編
ROKUJOが見た避難所(現状)
まずは、台風編から。
数年前、大型台風が東京を直撃し、運悪く避難所の運営に関わることになったROKUJO。
数日前から台風の直撃が予想されていたため、
まぁ、避難者も ま さ か 避難の準備位しておくよねっ!と思っていた私が甘かった。
奴らは何一つ、準備などしていなかった。
・「避難した方がいいんですか?」
夜に台風が直撃するとの予報から、朝から避難所を開設した。
昼くらいに5組くらいの避難者が到着した頃にはかなり雨が強くなり、直撃する台風の強さに思いを巡らせていたところ、事務室の電話が複数鳴り始める。
「避難ってした方がいいんですか?」
これは何とも回答しようがない。これでこの後に何かあったら責任が取れないので、
「ご心配でしたら、避難してください」
としか回答できない。正直、自分のことは自分で決めてもらいたい。
しかも、同じ内容の電話が何十本もかかってくる。中には避難所の場所が分からない!と混乱するいい歳した奴もいる。
そんな電話の対応をしていたら、夕方になった。
夕方5時過ぎになっていきなり避難の受付が増えた。一体どうしたことか?と運営で話していると、しばらくしてその原因が分かった。
「LINEに地元の小学校のママ友のコミュニティがあって、そのママ友の中の1家族が避難したら、「じゃ、私も…」「私も…」と全員が避難した」
ダ〇ョウ俱楽部かっ!怒
…と心の中で苛立つ。
苛立つ理由もわかってほしい。
既に配布できる毛布の数が足りていない。
配布する予定だった非常食が全く足りない。
そもそも、避難所の部屋が足りない。
わざわざ雨が強くなってから集団で避難してきてくれたので、本部から追加で食料品の運搬が出来ない。
・避難防災セットは全く役に立たない
防災の日の前後にだけ売れ行きが良くなる『防災持ち出しセット』。
あれ、台風の避難には全く役に立たないのをご存知だろうか?意気揚々と持ってきても、全く使わないままの荷物になって持ち帰ることになるので、台風の避難所には持ってこないほうが良い。
…というか、何が入っているのか分かってて持ってきたのだろうか?
(各市町村にもよるが)避難所は学校や公民館などの公共施設に開設されるため、滅多なことがない限り台風では停電や断水は無い。
よって、持ち出しセットに入っている保存水、懐中電灯(ろうそく)の類は全く不要である。
また、たいていの避難所に応急セットは置いてあるので、持ち出しセットの中に入っている救急品は不要になる(というか、避難中に転んだ等がない限り、不要)。
断水もしないのでトイレも勿論稼働している。携帯トイレも不要。トイレットペーパーもある。
そうすると、持ち出しセットの中で必要なモノはと言えば、保存食くらいだろうか?
・「来ちゃった…(はぁと)」は恋人の部屋だけにしとけ
避難所はホテルじゃない。
避難場所だけ無料で提供しているのだと思っている位がちょうどいい。
配布用の毛布の備蓄もあったが、早い者勝ち。ママ友同士の避難の連鎖で注文していた非常食も足りない。
赤ちゃんを抱いた母親が「タオルとオムツもないんですか?」と平然と聞いてくる。最近のホテルにはそのようなサービスでもあるのだろうか。
台風は1週間も前から予報されていたこと。アレコレ無い無い!と騒ぐ人たちは気象庁のアンチなんだと思うようにした。
運営側もトラブルを起こすのもめんどくさいので、出せるモノは出すが、ないモノは出せない。
・避難所は男女で部屋を分けてない
できれば…と、上司にも提案したが、それどころではなかったので叶わなかったことだが…
避難所の部屋は男女で別れていないのだ。
そもそも一家族全員が避難しているので、男女で分けてしまうと家族がバラバラになってしまう。
非常時は家族揃っていた方が安心するもの。
…まあ、それは分かる。
しかし、年頃のお嬢さんの隣でいい歳のオッサンが寝ているのはどうしても抵抗があった。
中にはせっかく避難してきたのに「年頃の娘がいるので…」と帰ってしまった一家もいた。
非常時にいかがわしいことをする輩などいない!と信じたいが…。
現状のまとめ
台風で避難する場合、「家が流された!」などの理由がない限り、長くて1泊だろう。
地震で長期に避難をする場合とは少々事情が違う。
また、台風は天気予報を見ていれば一週間前には直撃の可能性が分かる。
想像力を働かせて「一体何が必要で、何を持っていけばいいのか?」位はイメージしておいてもらいたい。
想像できなければ、予め前日までに避難所に問い合わせれば良い話だ(当日は電話対応が多くなると迷惑なので、前日までにお願いしたい)。
あまり声を大にして言いたくはないが、防災関係の会議にて某所のお偉いさんが
「非常時に障碍などを理由にあれこれ多様性なんかを認めてしまうと、場が成り立たない。いい加減にしてくれ」
とドヤ顔で発言している。
これを読む地味ビアンたちよ、これが現状だ。
それでなくても非常時は一人ひとりの許容範囲が混乱のために狭くなる。
目立たないでいた方が賢明だ。もっとも、地味ビアンの我々は声を大にして権利を主張することはしないだろうが。
家が流れてしまった!…という状況でなければ、たった1泊、避難所でウマく過ごせる方法があればいい。長い人生の中のたった1泊だ。
“ちょい技”というモノを次から掲載していきたい。
(続き)レズビアンのための防災講座*2(台風編)