前回は『死』とどのように向き合うか?というような宗教・スピリチュアル的なものがテーマであったが、今回からは役所等の各種手続きや埋葬など、貴女が居なくなった現世の話になる。
「色々な人に迷惑がかかる死に方はいやだ…」
と少しでもお思いであれば、ご一読いただきたい。
事例として、貴女はパートナーが居ない設定で、貴女の死後『手続きをしてくれる遺族がいる』場合と、『誰も手続きをしてくれない』場合に分けて説明する。
死亡後の各種手続きについて
・『死亡診断書・死体検案書』の発行
たった今、貴女は亡くなりました。
病院で死亡が確認されたのであれば、そのまま亡くなった病院で『死亡診断書』が発行される。しかし、事故で即死、または自殺や他殺など不自然な死では警察医による検死の上、『死体検案書』が発行される。孤独死の場合は『死体検案書』になる。
そのいずれかが発行されたら、各種手続きが始まる。遺族には警察から連絡がいき、死体の受け渡しが行われる。
まず、『死亡診断書・死体検案書』は必ず数枚コピーを取っておくこと。
コピーをせずに役所に提出し、受理されてしまうとその後の手続きがよりハードモードになるので、覚えておくこと。
…とはいえ、もう貴女はこの世に関わることはできないのだが。
・遺族が逃げ出すレベルの量の手続き
『手続きをしてくれる遺族がいる』場合
『死亡診断書・死体検案書』の提出と同時進行で葬儀が完了(ここでも葬儀社と葬儀方法についての打ち合わせがあるが省略)したら、いよいよ各種手続きが始まる。
役所関連の手続き及び必要な物については、大体の各市町村のホームページにまとめられた資料があるので、参考にしていただきたい。「〇〇市 死亡」で検索すれば出てくる。
一例として、埼玉県所沢市の例を挙げてみると…
…この量、びっくりした?
全ての項目に該当する方はいないと思うが、すでにヤバいと思ったことだと思う。
でもこれ、遺族がやらなくてはいけない仕事なのだ。
役所の手続きが終わっても、手続きはまだまだ続く。ざっと思いつくままあげてみると…
・故人の携帯電話やネット環境、NHK、クレジットカードの解約
・銀行等の金融機関への連絡
・相続人、相続財産の調査…など
貴女の遺族が運よくお金持ちで、各種手続きを弁護士などの専門家と相談しながらできるのなら良いが、そうはいかないこともあるだろう。その場合は、必ず担当する部署(役所、裁判所、年金事務所、各種契約会社)があるので、相談しながら手続きをすることになる。
『誰も手続きをしてくれない』場合
貴女が一番心配しているのがこのパターンだろう。
実家の両親も他界し、兄弟もいない。また親戚も分からない場合。
実は、このパターンになってしまった時の法律があるのはご存じだろうか。
『墓地・埋葬等に関する法律第9条』
「遺族がいない場合は、法律に基づき死亡地の市町村長が埋葬または火葬を行うこと」
つまり、葬儀ナシですぐに火葬することになる。
遺骨・遺品に関しても、市町村が管理することになる。
一定期間保管された後、遺骨は縁者のいない方々が葬られるお墓(無縁塚)に埋葬される。個別の墓は建ててもらえないが、遺骨の埋葬自体はしっかりと行われる。
「えー、私は実家の墓に入りたいっ!」
…そういう方もいらっしゃるでしょう。
この場合の回答は“できなくはない”だ。
方法は1つ。従妹でもハトコでも叔母でも叔父でもいいので、親族と連絡をこまめにとっておき、「実家の墓に入りたい」旨とそれなりの金額を渡しておくこと。あとは、貴女の死後に貴女の希望を叶えてくれることを祈るしかない。
なお、クレジットカード等の役所以外の手続きまでは市町村が行うことがないので、口座からのお金が引き出せなくなるまで続くことになる。
まとめ
ここまで読んだ地味なレズビアンの貴女は、一体どのように感じているのだろうか。
「私、別に葬儀なんかいらないから、死後に住んでる市町村がなんとかしてくれるなら、それでいいや」…と思ったか。
「いや、いくら税金払っているからとはいえ、市町村にも迷惑かけたくない。いまから親戚付き合い始める」と思ったか。
一応、地域の住民との交流があれば近隣の方が葬儀を行ってくれることもあるらしいが、地味なレズビアンの貴女は恐らく近所付き合いはしていないだろうから省略した。
ここまでお読みになってカンの良い方はお気づきかもしれない。
“どんな選択をしても、誰かが何とかしてくれると同時に、誰かに面倒をかける”
そして面倒をかけるのは、別に貴女がレズビアンだからではない。
貴女の親御さんは高確率で貴女よりも先に鬼籍にはいるだろう。その時の葬儀・諸手続きは貴女がすることになる。その親御さんだって、親御さんの親御さんの時は同じことをしたのだろう。
いのちの連鎖の一つ、と思っても良いのかもしれない。
ただし。貴女が元気なうちににやっておくべき準備をしておけば、どちらのパターンでも残された者に迷惑をかける度合いが異なってくる。
次回は、やっておくと残された者がちょっとだけ楽になることを紹介していく。
(続き)死ぬ前にこれだけはやっておけ【孤独死は怖くない*4】