一人で立ち寄ったファミレスで
「おひとり様ですか~?」
と受付係から声をかけられる。この光景は特に気にならないだろう。
現在、『一人焼肉』『一人カラオケ』『一人ディズニー』など、『一人〇〇』というワードが随分と市民権を得てきたように思える。
「別にいちいち友達を誘って気を遣うより、一人の方が気楽じゃん!」
と言ったところだろうか。
けれど、この『一人〇〇』が市民権を得ても、女性がその人生を一人で生きていくことに関してはまだまだ抵抗があるようだ。
目次
女性がおひとり様であるということ
・“一人でいること”の何が悪い
地味なレズビアンに限らず、現時点で同性婚は認められていない。
カミングアウトをしていないレズビアンたちは社会的に見ると『結婚していない、未婚の女性』という立場になる。
『30歳くらいまでに多くのノンケは結婚して家庭を持つ』そんな暗黙の了解が日本社会にはある。
そして女性に限りその基準に漏れると『いき遅れ』と言われることになる。
何故か男性の場合、独身のままでいたとしても「何か事情があるのだろう」で話が済む。
しかし女性が未婚のままでいると「あの人は性格がキツイから結婚できないんだ」「あの人は遊んでいて結婚できないんだ」など、「あの人は〇〇だから結婚できない」という誰にでもあるだろう短所を〇〇部分に当てはめて、彼女の生き方を否定してくる。これは何故だろうか?
ちなみに、日本の生涯未婚率は男性23.4%、女性14.1%(2019年時点)であり(以下URL参照)、年々この数値は上昇しているが、まだまだ女性が一人で生きていける社会にはなっていないようだ。
(参照)男性23.4%、女性14.1%…生涯未婚率の現状と今後(2019年公開版)
ちなみに、彼女がいないレズビアンの割合を示すデータがないため、どのくらいのレズビアンがおひとり様なのかは分からない。
けれど、社会的に『結婚』という制度が利用できない以上、彼女持ちのレズビアンも社会的に見れば“おひとり様”なのだ。
・女性は一人で生きていけない生き物か?
逆になぜ、女性は生涯独身でいられないのか?
経済的、精神的、社会的…様々な理由があるだろうが、大きく分けて以下の4つだろう。
【老後(孤独死)の不安】
【経済的な不安】
【(病気やケガなどの)緊急時の不安】
【精神的な支えがいない不安】
一つ一つ解説していく。
【老後(孤独死)の不安】
老後、将来の不安である。
別記事『恋愛ってしなきゃダメ?』でも書いたことだが、
“一人でいたくないから恋愛をする”という、限りなく貴女のエゴに近い理由で見つけた相手と、この先何十年間も一緒にいたところで貴女の人生は満足なのだろうか?
未来に起こることなんて誰にも分からない。貴女の描く“不安”がそのまま現実になるとも限らない。
不安な気持ちは分かるが、貴女のみならず誰もが最期は一人で三途の川を渡っていく。去り行く時は、誰だって一人だ。
【経済的な不安】
老後の問題にも関わってくるが、おひとり様は何があっても働き続けなくてはならない。
順調に働けている今はいい。けれどもし、会社からリストラされたら?ケガをして働けなくなったら?
交際している彼女に頼っていいものなのだろうか?そもそも頼れる彼女もいない場合は?両親もすでに年金暮らしで頼れない場合は?
実はそうなった時に最後の最後で頼れるところがある。
『役所』である。
「生活保護とまではいかないけど、ちょっとの間(再就職するまで)だけ助けてほしい…」
というケースであれば、実は意外と助成金や支援をしてくれる制度があるのだ。
しかし『役所』というものは、どうしても情報発信が上手くいっていない市町村も多く、自分で苦労して調べなくてはいけない。
『〇〇(お住まいの市町村名)市 困窮 制度』で検索してみよう。または、『〇〇市 社会福祉法人 困窮』でも調べてみよう。
【(病気やケガなどの)緊急時の不安】
先述した【経済的な不安】にも関連するところだが、おひとり様には「いきなり入院することになったらどうしよう…」「震災時にどうすればいいのだろう…」などの緊急時の不安がある。
日頃から派手にお金が動く趣味(ギャンブル、ブランド品、美容)は辞めろとは言わないが、ほどほどにしてある程度の貯蓄をしておく必要がある。
しかしこれは、“普通”に家庭を持つ方々にも言えることであり、緊急時の対応はやれるようにやるしかない。
強いていうのなら、身元(実家の連絡先、病歴など)を分かるように書いた物を常に身に着けていてもらいたい。
また、各種災害への対応についても適宜考えておくこと。
【精神的な支えがいない不安】
実はこれが一番女性が独身のままでいられない原因であるように思える。
未婚の友人がいる時期はまだ良い。しかし、どんどん友人が結婚していき、まるで自分だけ置いて行かれるような感覚に陥る。そしていつしか自分の相手をしてくれなくなる。
寂しい。
それに加えて女性特有の生理前の不安定な時期もある。
今までに延べた【老後(孤独死)の不安】【経済的な不安】【(病気やケガなどの)緊急時の不安】が次々と頭の中をぐるぐる回ってしまう。
誰かに支えてもらいたい。けれど、レズビアンの場合、特に地味なレズビアンの場合、なかなか横のつながりを作れない。セクシュアリティの問題もプラスされ、社会的にも精神的にも居場所がない思いをしてしまう。
気軽に通えるビアンバーを探す、セクシャルマイノリティーの知り合いを作る、カミングアウトはしなくても深い話ができる友人を作る…など、対応はしておく必要がある。
ビアンバー初心者に敷居が高くないバーについては、本サイト『セクシュアリティの自認と受容*2』に記載してあるので、良かったら参考にしてもらいたい。
まとめ
レズビアンがおひとり様で暮らすには、確かに社会のシステム的に難しい部分もあるだろう。
しかし、以下3点の対策がなされていれば、それなりの生活を続けることが出来るだろう。
・そこそこのお金・物資を備えておくこと。
・緊急時の対応を検討しておくこと(経済的なものと災害的なもの)。
・横のつながりを作っておくこと。
地味なレズビアンである貴女は、恐らく「できるだけ他人に頼りたくない…」とお思いでいるだろう。
他人に頼りたくなければ、それなりの事前準備と対策が必要である。
未来に何が起きるかなんて、誰も知ることは出来ない。
できるだけの準備と対策をして、あとは運に任せよう。
(続き)会社での立ち回り方【レズビアンはつらいよ*3】